Oren Ambarchi "Sagittarian Domain"

Artist: Oren Ambarchi
Album: "Sagittarian Domain"
Label: Editions Mego
Year: 2012
Tracklist
01. Sagittarian Domain (33:36)
オーストラリアの音響/実験系ギタリスト、オーレン・アンバーチの新作が、Pitaことピーター・レーバーグ主催のEditions Megoよりリリースされました。
今年前半にはTouchより"Audience of One"(僭越ながら上半期ベスト10に選ばせていただきました)やトーマス・ブリンクマンとのミニマル・テクノ/ドローン作品"The Mortimer Trap"、また、灰野敬二とジム・オルークまたはステファン・オマリー(Sunn O)))、KTLなど)とのトリオによる作品"Imikuzushi"(灰野/オルーク)と"Nazoranai"(灰野/オマリー)も発表しています。(後ろ二つは未聴)
そのリリースペースの凄まじさには驚くばかりであり、そしてその作品どれもが違った色彩を帯びていることには彼のミュージシャンシップおよび能力の高さを感じざるをえません。
そしてここにきて発表されたこの"Sagittarian Domain"ですが、弦楽器隊3人を従えたうえでのクラウト・ロック的な作風となっております。
ずんぐりむっくりとした、跳ねるモーグ・ベースが最小限のモチーフをミニマルに反復し、その上で力強いドラムが、強烈なビート感覚を維持しながら徐々に盛り上がっていきます。
その緊張感みなぎる空間の奥や底から立ち上ってくるノイズ/ドローン/音響ギターが時に暴力的な勢いで耳をつんざき、そしてまた時にはリズム隊の作り出す力強いリズムに組み込まれ、一つの大きなうねりを作り出しています。そのうねりは徐々に我々を感化し、巻き込み、トランス状態へと導きます。
そしてほぼ30分かけて激しく、じっくりと空間を緊張で満たし尽くした後、最後に挿入される弦楽隊3人を交えたエピローグのようなパートの美しさときたら!
トランス状態で昇り詰めるところまで昇り詰めたあと、急に空に/宇宙に放り出され、永遠に上昇し続けるような浮遊感と、どこまでも澄んだ純粋さのようなものが感じられるのです。
以前紹介した"Grapes from the Estate"から考えると、随分と変わった作風となりましたが、素晴らしい作品だと思います。今年度、上位に食い込んできそうです。
![]() | Sagittarian Domain (2012/08/28) Oren Ambarchi 商品詳細を見る |
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