Taylor Deupree "Somi"

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Artist: Taylor Deupree
Album: "Somi"
Label: 12K
Year: 2017

Tracklist
01. Minism (3:47)
02. Somi (8:36)
03. Slown (8:54)
04. Fenne (10:27)
05. Evode (6:04)
06. Autum (6:58)
07. Aoka (6:51)


テイラー・デュプリーというアーティストが、ひいては12Kというレーベルが追い求めてきた表現とは何だったのか。
彼が2014年の"Faint"以降、実に3年ぶりに発表した新作"Somi"は、私にとってそれを改めて認識させるものとなったように感じています。

では、それは何だったのか?
端的に、誤解を恐れずに言ってしまえば、彼の表現しようとしてきたもの、あるいは彼の志向の根底にあるものは「アシッド・フォーク」だったのではないかと思うのです。

本作"Somi"は、2002年の過去作"Still"のフォローアップのための作品である、とレーベルの資料には述べられています。
また、"Still"で用いられた、アルゴリズムを基とする正確無比な(≒機械的な、無機質な)ループから、今作ではもっと不確実性の高い手動ループによる複数トラックの(ゆったりとした)ポリリズムへとその手法が変化していることも、彼自身の言葉を引用しながら記しています。

私自身は"Still"を聴いていないので(bandcampでDLできるのでそのうちに聴こうと思いますが)、そのあたりの手法的な部分を論ずることはできませんが、そういった「細かい」、彼の(あるいはかねてからの12Kの)特徴的な作風として捉えられてきた「マイクロスコピック(微視的)な」サウンドを、その音の誘うままに細かく細かく聴取するのでなく、むしろそれを俯瞰した時に立ち現れる「心地良い虚無感・虚脱感」については、どんどん研ぎ澄まされてきており、本作で頂点を極めていると断言できます。

この「心地よい虚無」というものを、私が最も強く感じるのは、シド・バレット(Pink Floyd脱退後)やシビル・バイエルなどのアシッド・フォークの作品です。
もちろん、デュプリーがこれらのミュージシャン/ジャンル/作品を好んでいるかは存じていません(可能性は低そうに思えます)が、ここ数年彼が試行錯誤を繰り返してつくり上げる音の背後には、このような感覚が常に通奏低音のように存在していた、ということは彼の(あるいは12Kの)作品を追いかけてきた人になら分かっていただけるのではないかと思っています。
何より、彼はニック・ドレイクに心酔し、ヴァシュティ・バニヤンのツアー・メンバーとして(あるいは自作へ彼女をフィーチュアして)活動するSSWギャレス・ディクソンの作品のディストリビュートに力を入れているのですから。

手法的な部分では、ここ数年の12Kのオーガニックなサウンド志向も関係があるのかな、と思わされますし、散発的に鳴らされる愛らしい楽音を、薄いドローン/フィールドレコーディングがメランコリックにつないでいく様子からは、昨年DLのみではありますがFentonの10年ぶりの新作を発表したことに絡め、90年代後半~00年代前半のエレクトロニカのような空気も感じ取ることもできるでしょう。

長年デュプリー/12Kを追い続けてきた人にも、あるいはここ数年追いかけるのをやめてしまっていた人にも、改めて聴いてみていただきたい作品です。


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