Serge Gainsbourg "Gainsbourg & The Revolutionaries", "Gainsbourg in Dub"

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Artist: Serge Gainsbourg
Album: "Gainsbourg & The Revolutionaries", "Gainsbourg in Dub"
Label: Universal Music
Year: 2015

トラックリストはこちら⇒"Gainsbourg & The Revolutinaries", "Gainsbourg in Dub"

フランスが誇る伊達男セルジュ・ゲンスブール
彼は、デビューこそシャンソン歌手としてではありましたが、その初期から自身の音楽にラテンを取り入れるなど、フランスにない海外の音楽、特にビートやリズムの立ったものに強く惹かれていたように思います。

彼は60年代の中頃からロック/ロックンロールに傾倒し始めますが、70年頃にはロカビリーやスワンプ・ロックなどの泥臭いものだけでなく、ファンクにも通じるような粘く、重心低めのビートをその音楽の中に取り入れ始めます。
こういったリズム志向が徐々にその姿を見せ始めたのは、以前レビューさせていただいた71年の傑作アルバム"Histoire de Melody Nelson"あたりからだと思いますが、その志向は70年代の活動を通し彼の中でずんずんと膨らんでいったのでしょう。
伊達男なんですから、ビートには精通していて当然ということでしょうか(意味深)

しかしながら、ビート/リズム志向という根幹は守りつつも、この時代の彼の作品は、一作ごとにその様相がガラリと変わる、ある意味節操が無いと言えるものであったことも間違いありません。
元来の浮気性のなせる業か、あれをやったりこれをやったり、コンセプトをとっかえひっかえしたりで一つのスタイルを深く追求するということはあまりなかったように思います。
それでも、その作品のどれもが名作といえる出来なのですから、彼の天才を賞賛せざるを得ないわけですが…

ところが、彼は79年に入ってすぐに、なんとジャマイカへと飛びます。
現地で、当時最高のリズム・セクションであったスライ&ロビー率いるThe Revolutionaries及びボブ・マーリィの妻であるリタ・マーリィの所属する女性コーラストリオI Threesを調達した彼は、なんと突如レゲエを初めてしまったのです。
さらに、それまでコンセプト/スタイルをとっかえひっかえしていたのとは裏腹に、これからの3年間で、"Aux armes et cætera"(79年)と"Mauvaises Nouvelles des étoiles"(81年)という2作のスタジオ・アルバムに、初のライヴ・アルバム"Enregistrement public au Théâtre Le Palace"(80年)まで制作してしまったのですから、随分とレゲエに傾倒したのは間違いありません。

そして、それからおよそ35年が経つ今年、彼のレゲエ期を網羅するコンピレーション"Gainsbourg & The Revolutionaries"と、新たなダブ作品である"Gainsbourg in Dub"がリリースされました。

まず、"& The Revolutionaries"ですが、こちらは先に紹介した3つの作品をコンパイルしたうえ、ヴォーカル違いなどの未発表音源を追加したものです。
レヴォリューショナリーズの限りなくタイトでいなたいリズム/グルーヴと、華やかなアイ・スリーズのコーラスはルーツ・レゲエをそのまま体現したかのように素晴らしいものです。あまりに素晴らしいため、どこまでがゲンスブールの作曲なのかが疑わしいくらい(笑)
なんかコントロールルームから彼らの演奏を品定めして、気に入ったものにヴォーカルをのせただけのような気が…
いや、しかしこれが完全にただの(失礼)ルーツ・レゲエかというとやはりそうではありません。ゲンスブールのフランス語による語り(フランス語でのトースティング、ってことでまさにフレンチ・トーストですね笑)が入ると不思議なダンディズム/クールさがただようのですから、やはりこのオヤジ、只者ではありません。
コレに比べると、直近の"L'Homme à tête de chou"(76年)に収録され、今回再録もされているレゲエ・ナンバー'Marilou Reggae'は、あくまでレゲエ『風』ナンバーであった、とすら言いたくなるほどに、この3作は徹頭徹尾レゲエです。
よっぽど気持ちよかったんでしょうか、つい祖国の国家『ラ・マルセイエーズ』を引用しちゃって本国の右翼に付け狙われたのもご愛嬌(笑)

さて、彼のレゲエ期を抑えたいというのなら、こちらだけを手に入れるのでもそれほど問題はありません。
しかし、彼がやったのはレゲエ。そうなると、やはりダブ盤を聴きたくなるのが(レゲエ)フリークの性というものです。同時にリリースの"Gainsbourg in Dub"も見逃せません。

こちらは、前述の3作をダブミックスしたものです。
一度、"Aux..."のデラックス・エディションがリイシューされた際に、追加ディスクでダブverが収録されたこともあったようですが、本作では3枚合わせて54曲の内殆ど(50曲かな?)が新たなダブミックスということで、新作といえるでしょう。
勿論、当のゲンスブール本人はすでに鬼籍に入っておりますので、純粋な彼の新作ではありませんが、ダブなんだから気にしない方向で(笑)
3作共にフランス人プロデューサーのブルーノ・ブラーム+1名という形でダブミックスにあたってますが、リー・ペリーのようなシュールレアリズムやキング・タビーのようなラディカルな雰囲気はなく、典型的なルーツ・ダブといった感じのミックスで、それがむしろセルジュがオリジナルであることの特異性を強調しているような気がします。

個人的にお気に入りなのは各コンピディスク2の"Enregistrement public au Théâtre Le Palace"とそのダブ"Dr. Dub & Mr. Hyde"ですかね。
スタジオ盤のクールさを吹き飛ばすかのように熱い語りを聴かせるゲンスブールにより、レゲエ本来がもつ熱さが更に強まってますし、ダブ盤では音響操作も伴い最早狂乱とも言える世界が現出しています。
過去作のリアレンジが結構聴けるのもまた良いですね。

どちらの装丁もハードカバーで、重厚な感じがまた素晴らしい。
レゲエまたはゲンスブールのどちらかが、あるいは両方が好きなら、どちらとも手に入れて損はないコンピレーションだと思います。


'Aux armes et cætera'



'Aux Armes Dub'
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