Alexandre Andrés "Olhe Bem as Montanhas"

Artist: Alexandre Andrés
Album: "Olhe Bem as Montanhas"
Label: NRT/Independent
Year: 2014
Tracklist
01. Cara a cara (4:47)
02. Carretel (5:05)
03. Madrugada (5:01)
04. Alnilam (5:13)
05. Campo das vertentes (6:50)
06. Sinos (4:07)
07. Olhe bem as montanhas (5:37)
08. MAPA (5:40)
09. Silva (6:48)
10. Nem tambores, nem trombetas (5:50)
数年前から、ブラジルのミナス地方で活動する新進気鋭のミュージシャン達が注目を集めています。
当blogでは以前アントニオ・ロウレイロの2ndを紹介しましたが、私も遅ればせながらこのシーンの面白さに気づき、最近色々聴いてみようと思っているところです。
そんな中で、手始めにアレシャンドリ・アンドレスの新作を聴いたわけですが、これがロウレイロとはまた別のベクトルで素晴らしく、何度も何度も繰り返し聴いています。
そもそも彼は、ロウレイロの2ndと同年に発表した"Macaxeira Fields"(こちらも2nd、未聴)にて、すでに高い評価を得ていました。
そちらは「チェンバーポップ」という評などから、多分に室内楽的なアンサンブル要素の強いものだと思われます。事実、様々なゲストミュージシャンも参加しており、メンバーを見るだけでもその多彩な音は想像できそうです。
しかし、それに続く今作は一転して彼を含む4名のメンバーで構成されるスモールコンボ/バンドによる作品となっています。
編成はシンプルですが、彼らが演奏する音にはサンバやジャズは勿論のこと、隣国アルゼンチンのフォルクローレからの影響も感じさせるような旅情あふれるメロディセンスがはっきりと聞き取れ、豊潤な音楽を形成しているのがすぐに分かるでしょう。
もちろん、そのメロディには溢れんばかりのサウダーヂが感じられますが、それは個人的な過去/想い出への郷愁というよりは、あたかも彼が育った故郷の歴史への郷愁であるように思えます。フォルクローレというトラディショナル音楽からの影響を強く感じさせるのはそういったところに理由があるのかもしれません。
『山々を見よ』(拙い翻訳で失礼)という、いかにもなアルバムタイトルも、かつて鉱山の街である故郷ミナスジェライス州を想ってのものであろうことは想像に難くありません。
楽曲は歌ものとインストの比率がおよそ半々(歌もののほうがやや多いくらい)で、ソング然とした歌心を求める方だけでなく、スリリングな演奏の刺激を求める方にもアピールするものであることは間違いありません。
やや礼儀正しすぎるというか、優等生なところはありますが、このような内省的な音楽にはこれくらいの態度が丁度良いようにも思えます。(思えばロウレイロも随分と優等生な音でしたし笑)
色々なものを吸収し、自身の音楽的土壌にしてやろうという貪欲さと、ブラジル人らしい故郷への強い憧憬が見事に混じりあい、プログレッシヴなフォルクローレ作品として成立しています。
今のところアマゾンでは取り扱いがないようですが、HMVやTower Recordsでは買えるようなので、ぜひ。
HMV: Olhe Bem As Montanhas
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