TAMTAM "NEWPOESY"

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Artist: TAMTAM
Album: "NEWPOESY"
Label: P-Vine
Year: 2016

Tracklist
01. アンブレラ (4:12)
02. コーヒーピープル (4:43)
03. CANADA (5:01)
04. インディゴ16' (5:41)
05. カルテ (4:20)
06. sweetcigarettes (5:08)
07. greedcity -the theme of lisa- (3:37)
08. 星雲ヒッチハイク (6:58)
09. newpoesy (1:55)
10. 自転車ジェット (4:10)


レゲエ/ダブを中心として、様々なジャンルをその視野に収める国内のバンドTAMTAMがP-Vineに移籍してから初めて放つ新作"NEWPOESY"は、"Back to the Riddim"というテーマどおり、改めて自身の根本的なスタイル(=レゲエ/ダブ)に回帰しながらも、それ以前に見せていたロック/ポップス的な起承転結のスッキリした楽曲構造や歌心、近年のR&B/ソウル的な重心低めのグルーヴを全編にみなぎらせた快作に仕上がりました。

私は今作で初めて彼らの音楽に触れますが、ネット上にアップされている過去の楽曲を聴く限りでは、初期はDRY & HEAVYなど直系の和製ダブバンド的な空気が強く、ビクターからメジャーデビューした時期はポップス的な色彩を強めていったような雰囲気だったようです。
そういった点を踏まえると今作は、今までの様々なチャレンジが見事な形で結実した作品と取ることができるでしょう。

なによりも、1曲目'アンブレラ'の一打でリスナーを引き込むドラムの後に入ってくるベースからしてテンションがあがります。
「ゆったりとくつろいでいながらファンキーな、シンプルでかっこいいベースライン」こそがレゲエ/ダブ(を根源とする)音楽における最重要項目だと個人的には考えているですが、このベースラインは完全に文句なしの完璧なものだと思います(笑)

その後の楽曲でも素晴らしいベースラインがバンバン繰り出されて、それだけでも嬉しくなると同時に非常に興奮させられますが、さらにそこにどっしりとしたドラムががっちりと噛み合い、ギターが小気味の良いカッティングや空間的な残響を印象づけるストロークなどでサポートしつつ、アトモスフェリックなシンセサウンドやちょっと不協和で熱情的なピアノサウンド、祝祭的なトランペットなどで隙間や表層を埋めていくという、とても強固なアンサンブルにより、まるでバンド全体で一つの生き物であるかのように自然で奥行きのある、濃密な雰囲気が全編通して感じられます。
紅一点のヴォーカル(兼トランペッター) クロによる(今までに比べると)気だるげでリラックスした歌声もそんな演奏にがっちりはまり、より今作のまとまりを強めていますね。

曲のスタイルやアレンジメントは多彩ですが散らかった感じがなく、彼らの幅広さと、それを統合していくセンスの高さを如実に示しています。
もちろん、ダブバンドでもありますので、ダブ的なディレイ/リヴァーブは随所で存分に楽しめると同時に、そういった音響操作がバンドの演奏やヴォーカル/コーラスのハーモニーを一層強めているような瞬間もあります。
先述したベースラインが素晴らしすぎる1曲目'アンブレラ'や、アレンジメントや録音的な部分で本作の一番の指針となったドープな雰囲気の香る3曲目'CANADA'、そしてそもそも今作の方向性のきっかけとなったポップ&空間的な8曲目'星雲ヒッチハイク'などはその好例であると言えるでしょう。

メンバーが聴いた様々な音楽からの影響と、いつ果てるともしれないジャムの楽しさや悦びから生まれたであろう本作はファンキーでダンサブルでスモーキーでメロディアス、そしてちょっぴりセンチメンタルな快作である、と改めて大推薦させていただきます。


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Raging Fyah "Everlasting"

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Artist: Raging Fyah
Album: "Everlasting"
Label: VP Records/Dub Rockers
Year: 2016

Tracklist
01. Everlasting (4:02)
02. Justice (3:55)
03. Live Your Life [feat. J Boog & Busy Signal] (3:33)
04. Dash Wata (3:53)
05. Ready For Love (3:22)
06. Humble [feat. Jesse Royal] (4:15)
07. RaggaMuffin (3:31)
08. Try Again (3:58)
09. Get Up (4:40)
10. Would You Love Me [feat. Busy Signal] (3:47)
11. Happiness (4:13)
12. Wondering (4:32)
13. Getting Dread (4:11)


良い音楽を、アルバムを作るために必要なのは「新しさ」などではなく、何よりも「真摯な態度」ではないのか、と時に思います。
そういう意味では、ジャマイカ発の現代ルーツ・レゲエ・バンドRaging Fyahの第3作目にして、世界デビュー作となる"Everlasting"は正にジャマイカやレゲエに対する愛に溢れた真摯な名作と言うことができるでしょう。
現代レゲエを聴いてみようと色々探している中でふとアンテナに引っかかり、ようやく最近手に入ったのですが(入荷にかなり時間がかかりました…)、何が素晴らしいってとにかく全曲名曲なのですよ、これが。

若々しく溌溂とした歌声、ストイックにリディムを刻むドラム、ふくよかな低音で楽曲を底支えするサブマリンベース、サイケデリックなギター、ちょっぴり夢見心地なシンセサイザー、そしてたぎるように熱く男臭いブラス…といったレゲエを素晴らしいものとする要素が全部入りですし、楽曲の方も練りに練られていており、全ての楽曲で印象的なフックが配され、一緒に合唱したくなるようなソウルフルな雰囲気がアルバム全編を覆っています。

また、ルーツ・レゲエというとどうしても強いメッセージ性や、重心の低いヘヴィな楽曲というイメージがあると思いますが、対する彼らの音楽は、確かにメインに志向しているものこそルーツなのだと思われるものの、プロダクションやアレンジメントなどには現代的なものを感じることが多く、アルバム全体通してみると案外軽やかな印象を受けます。
ダブ処理も、あくまで添え物として楽曲の芯の部分(歌唱や演奏)を邪魔しないように、しかしながら非常に効果的に加えられています。

繰り返し言うとおり全曲名曲ですが、個人的に気に入っているのはこれ以上にないほどに熱い導入である1曲目や、カリビアンな空気が軽やかな3曲目、夢見心地なシンセサイザーがリードする名バラードの5曲目、超戦闘的なミリタントビートに牽引される6曲目、アルバム中最もダブ色/ダンスホール色(?)の強い7曲目、再度ミリタントビートな8曲目、アルバム終盤に入ったところでストリングスによる導入が目を覚まさせる9曲目、男臭いロックバラードな10曲目、タイトル通り(?)どこかもやのような浮遊感を感じる12曲目、ちょっぴり不穏な導入から勇猛果敢な雰囲気へと転じていくラスト13曲目など…って殆どですね(笑)
もちろん、ここに挙げてない曲も良い曲ばかりです。

視聴などが少なく、アルバム通しての魅力が伝わりづらい部分はあると思うので、少しでも気になるならぜひ購入して、通して聴いてもらいたいと思います。
損はさせません、絶対!


Serge Gainsbourg "Gainsbourg & The Revolutionaries", "Gainsbourg in Dub"

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Artist: Serge Gainsbourg
Album: "Gainsbourg & The Revolutionaries", "Gainsbourg in Dub"
Label: Universal Music
Year: 2015

トラックリストはこちら⇒"Gainsbourg & The Revolutinaries", "Gainsbourg in Dub"

フランスが誇る伊達男セルジュ・ゲンスブール
彼は、デビューこそシャンソン歌手としてではありましたが、その初期から自身の音楽にラテンを取り入れるなど、フランスにない海外の音楽、特にビートやリズムの立ったものに強く惹かれていたように思います。

彼は60年代の中頃からロック/ロックンロールに傾倒し始めますが、70年頃にはロカビリーやスワンプ・ロックなどの泥臭いものだけでなく、ファンクにも通じるような粘く、重心低めのビートをその音楽の中に取り入れ始めます。
こういったリズム志向が徐々にその姿を見せ始めたのは、以前レビューさせていただいた71年の傑作アルバム"Histoire de Melody Nelson"あたりからだと思いますが、その志向は70年代の活動を通し彼の中でずんずんと膨らんでいったのでしょう。
伊達男なんですから、ビートには精通していて当然ということでしょうか(意味深)

しかしながら、ビート/リズム志向という根幹は守りつつも、この時代の彼の作品は、一作ごとにその様相がガラリと変わる、ある意味節操が無いと言えるものであったことも間違いありません。
元来の浮気性のなせる業か、あれをやったりこれをやったり、コンセプトをとっかえひっかえしたりで一つのスタイルを深く追求するということはあまりなかったように思います。
それでも、その作品のどれもが名作といえる出来なのですから、彼の天才を賞賛せざるを得ないわけですが…

ところが、彼は79年に入ってすぐに、なんとジャマイカへと飛びます。
現地で、当時最高のリズム・セクションであったスライ&ロビー率いるThe Revolutionaries及びボブ・マーリィの妻であるリタ・マーリィの所属する女性コーラストリオI Threesを調達した彼は、なんと突如レゲエを初めてしまったのです。
さらに、それまでコンセプト/スタイルをとっかえひっかえしていたのとは裏腹に、これからの3年間で、"Aux armes et cætera"(79年)と"Mauvaises Nouvelles des étoiles"(81年)という2作のスタジオ・アルバムに、初のライヴ・アルバム"Enregistrement public au Théâtre Le Palace"(80年)まで制作してしまったのですから、随分とレゲエに傾倒したのは間違いありません。

そして、それからおよそ35年が経つ今年、彼のレゲエ期を網羅するコンピレーション"Gainsbourg & The Revolutionaries"と、新たなダブ作品である"Gainsbourg in Dub"がリリースされました。

まず、"& The Revolutionaries"ですが、こちらは先に紹介した3つの作品をコンパイルしたうえ、ヴォーカル違いなどの未発表音源を追加したものです。
レヴォリューショナリーズの限りなくタイトでいなたいリズム/グルーヴと、華やかなアイ・スリーズのコーラスはルーツ・レゲエをそのまま体現したかのように素晴らしいものです。あまりに素晴らしいため、どこまでがゲンスブールの作曲なのかが疑わしいくらい(笑)
なんかコントロールルームから彼らの演奏を品定めして、気に入ったものにヴォーカルをのせただけのような気が…
いや、しかしこれが完全にただの(失礼)ルーツ・レゲエかというとやはりそうではありません。ゲンスブールのフランス語による語り(フランス語でのトースティング、ってことでまさにフレンチ・トーストですね笑)が入ると不思議なダンディズム/クールさがただようのですから、やはりこのオヤジ、只者ではありません。
コレに比べると、直近の"L'Homme à tête de chou"(76年)に収録され、今回再録もされているレゲエ・ナンバー'Marilou Reggae'は、あくまでレゲエ『風』ナンバーであった、とすら言いたくなるほどに、この3作は徹頭徹尾レゲエです。
よっぽど気持ちよかったんでしょうか、つい祖国の国家『ラ・マルセイエーズ』を引用しちゃって本国の右翼に付け狙われたのもご愛嬌(笑)

さて、彼のレゲエ期を抑えたいというのなら、こちらだけを手に入れるのでもそれほど問題はありません。
しかし、彼がやったのはレゲエ。そうなると、やはりダブ盤を聴きたくなるのが(レゲエ)フリークの性というものです。同時にリリースの"Gainsbourg in Dub"も見逃せません。

こちらは、前述の3作をダブミックスしたものです。
一度、"Aux..."のデラックス・エディションがリイシューされた際に、追加ディスクでダブverが収録されたこともあったようですが、本作では3枚合わせて54曲の内殆ど(50曲かな?)が新たなダブミックスということで、新作といえるでしょう。
勿論、当のゲンスブール本人はすでに鬼籍に入っておりますので、純粋な彼の新作ではありませんが、ダブなんだから気にしない方向で(笑)
3作共にフランス人プロデューサーのブルーノ・ブラーム+1名という形でダブミックスにあたってますが、リー・ペリーのようなシュールレアリズムやキング・タビーのようなラディカルな雰囲気はなく、典型的なルーツ・ダブといった感じのミックスで、それがむしろセルジュがオリジナルであることの特異性を強調しているような気がします。

個人的にお気に入りなのは各コンピディスク2の"Enregistrement public au Théâtre Le Palace"とそのダブ"Dr. Dub & Mr. Hyde"ですかね。
スタジオ盤のクールさを吹き飛ばすかのように熱い語りを聴かせるゲンスブールにより、レゲエ本来がもつ熱さが更に強まってますし、ダブ盤では音響操作も伴い最早狂乱とも言える世界が現出しています。
過去作のリアレンジが結構聴けるのもまた良いですね。

どちらの装丁もハードカバーで、重厚な感じがまた素晴らしい。
レゲエまたはゲンスブールのどちらかが、あるいは両方が好きなら、どちらとも手に入れて損はないコンピレーションだと思います。


'Aux armes et cætera'



'Aux Armes Dub'

Burning Spear "Marcus Garvey", "Garvey's Ghost"

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Artist: Burning Spear
Album "Marcus Garvey"
Label: Island
Year: 1975

Tracklist
01. Marcus Garvey (3:27)
02. Slavery Days (3:34)
03. The Invasion (3:22)
04. Live Good (3:14)
05. Give Me (3:11)
06. Old Marcus Garvey (4:03)
07. Tradition (3:30)
08. Jordan River (3:00)
09. Red, Gold & Green (3:14)
10. Resting Place (3:10)


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Artist: Burning Spear
Album "Garvey's Ghost"
Label: Island
Year: 1976

Tracklist
01. The Ghost (3:56)
02. I and I Survive (3:55)
03. Black Wa-Da-Da (3:53)
04. John Burns Skank (3:49)
05. Brain Food (3:11)
06. Farther East of Jack (4:26)
07. 2000 Years (3:49)
08. Dread River (3:13)
09. Workshop (4:34)
10. Reggaelation (3:43)


最近、ルーツ・レゲエ/ルーツ・ダブを聴き直すとともに、まだまだ聴けていない有名盤に手を伸ばしています。
やはりルーツ特有のあたたかみとか、ゆるさのようなものが猛暑(といっても今年はやや冷夏のようですが)にはとても心地が良いのですが、それと同時に、ウィンストン・ロドニーことBurning Spearが1975年にドロップした、ルーツ屈指の名作"Marcus Garvey"及びそのダブ盤"Garvey's Ghost"(こちらは76年)における緊張感、緊迫感やコンシャスさが私の心の奥底にずしりとした重みを残しています。

本作は、彼の3rd及び4thアルバムで、ボブ・マーレィの国際的な成功に前後して多くのレゲエ・ミュージシャンやその作品を世界に向け紹介/ディストリビュートしていたIslandから発表されました。
タイトルからも分かる通り、ロドニー(とボブ・マーレィ)と出身地を同じくする、北米初の黒人解放運動の指導者であり、ラスタファリズムにおいては預言者(ヨハネの生まれ変わり)とされるマーカス・ガーヴェイをメインテーマとしながら黒人の苦しい状況と、そういった状況に対し戦うことを訴える、非常にコンシャスな作品です。

基本的にBurning Spearというのはロドニーのソロ名義なのですが、今作ではデルロイ・ハインズルパート・ウィリントンという2名を加えたコーラス・グループの体裁をとっています。
2名のコーラスによる補強が豊かなハーモニーを作り出すと同時に、ロドニーがソロでマイクを取る部分を効果的に強調しています。

その他の面子としては、ベースにロビー・シェイクスピア(Sly & Robbie)やギターにアール"チナ"スミス、ドラムスにリロイ・ウォレスやトロンボーンのヴィン・ゴードン(ドン・ドラモンドJr.なんて名を名乗る場合もあります)など、本作以外の名作でも必ず名を連ねているメンバーでガッチリと固められています。
各プレイヤーの演奏が素晴らしいのは勿論ですが、今作で何より印象的なのはリロイ・ウォレスによるリディムではなかろうかと思います。

随所にマーチングバンド的なルーディメンツを挿入する挑発的なスタイルは、まるで聴く者の闘争心を鼓舞するかのようにソリッドで攻撃的です。そこにロビー・シェイクスピアの重心低めのベースラインが絡むことで、本作のテーマのヘヴィさがより増強され、アルバム全体の緊張感、緊迫感につながっているように思えます。
ルーディメンツの使用というといわゆるロッカーズ/ミリタントビートという有名なリディムを思い浮かべますが、あれほどルーディメンツが多用されている感じではなく、要所要所ではスネア/リム・ショットの音数を絞ることで一打のインパクトを強めているように見受けられ、どちらかというとそういったリディムのプレ的なビートであるように感じますが、そうであるがゆえにこのビートは中々他では聴けないように感じます。
コーラス・グループ的体裁であったり、ロッカーズに至る直前の過渡期的な印象を強く残すビートであったり、本作はロドニーのディスコグラフィの中でも独特な点が多いようですが、それが作品の素晴らしさにつながっていることは間違いないでしょう。まさに奇跡的な一枚と言えます。

そして、原作の曲順そのままにダブミックスされた"Garvey's Ghost"の素晴らしさときたら!
ダブミックスにはジャマイカのプロデューサーは絡んでおらず、Islandお抱えのジョン・バーンズというエンジニアとディック・カッセル(と読むのか?Cuthell)というプロデューサー(兼スタジオ・ミュージシャン。XTC作品にも参加経験有りとのこと)により行われたようですが、ジャマイカンの手に依っていないからといって侮ってはいけません。
通常、刺激的なダブ作品では必ず多用されているリヴァーブやディレイがかなり控えられており、基本的にほぼ音の抜き差し/音量操作のみで構築された異例のダブなのですが、これがまた原作の持つ緊張感を霧散させずにガッチリと保持した好ミックスなのです。
むしろ、飛び道具(リヴァーブなど)を控えることでヘヴィさ/ソリッドさが原作の1.5倍(当社比)みたいな感じでして、何度聴いても飽きません。

現在は2作まとめて2in1の形での再発が主になっており、つい先日(7/1)に国内盤が廉価再発されたところのようですので、まだ聴いたことのない方は是非お聴きください。
聴かなきゃ人生損するレベルの名作です。


'Marcus Garvey'



'The Ghost'

Asian Dub Foundation "The Signal and the Noise"

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Artist: Asian Dub Foundation
Album: "The Signal and the Noise"
Label: Rinse it Out
Year: 2013

Tracklist
01. Zig Zag Nation (3:48)
02. The Signal and the Noise (3:19)
03. Radio Bubblegum (4:16)
04. Qutub Ninar (4:20)
05. Stand up (4:58)
06. Hovering (4:52)
07. Straight Jacket (3:58)
08. Get Lost Bashar (3:40)
09. Bnadh Bhenge Dad (3:29)
10. Blade Ragga (6:06)
11. Your World Has Gone (3:19)
12. Dubblegum Flute Flavour (5:29)


間違いなく、ビートは音楽における「武器」なのです。
強靭なビートは歌詞や、ヴォーカル/演奏がはらむニュアンスを楽曲ににじませるための「場」をつくり上げます。
そうすることで音楽はメッセージ性を持つ、アジテーティヴなものとして機能することができるのは、感覚的にでも分かることではないかと思います。
そして、在英のインド/バングラディシュ系のミュージシャン達により形作られた音楽共同体Asian Dub Foundationはなによりもそのことを理解し、実践しているのではないでしょうか。

彼らの音楽は、様々な様態のビート(ロックやテクノ/エレクトロニカ的なものはもちろん、レゲエやD&B、バングラビート、近年ではダブ・ステップなどなど)を根幹として形作られています。
演奏される楽器もあまりに様々なため、一聴して彼らの音楽を特定のジャンル/国に定義付けすることは不可能です。まさに「無国籍」なサウンドと言えます。
当然、その名が冠するとおりダブからの影響も色濃く、残響の作り出す深い奥行きは、彼らの音楽の持つ多様性を見事に飲み込み、より力強いものへと昇華しています。

新作"The Signal and the Noise"ではその傾向は更に強められ、強烈なビートと分厚い演奏、そして深い残響が全編を覆っています。
そしてそういった楽曲が我々の耳に、心に届けるのは彼らの様々なメッセージです。
現在の情報化社会において、シグナル(有益/正確な情報)とノイズ(雑音/デマ)を正確に判断し取捨選択するリテラシーを育むことの重要性を説くリード・トラック(2曲目)を筆頭に、彼らの歌詞は現代社会を取り巻く様々な問題(民族自決や解放運動、あるいはラジオというビジネス・モデルにより引っ掻き回される音楽界など)に言及しています。
歌詞を読み深めながら聴けば、それらのメッセージがグイグイと迫ってくるのを感じられるはずです。非常にコンシャスなそのスタイルは、ダブを通してレベル・ミュージックとしてのレゲエを純粋培養した英国ならではでもあり、そしてまた彼らの出自に帰せられるところも多いのでしょう。

UKダブの仕事人エイドリアン・シャーウッドによるプロデュースも光ります。効果的なSEの使用やハイファイでくっきりとした音響操作/ミックスは雑多な要素/情報をスッキリ整頓し、複雑に絡み合う演奏を混乱することなくリスナーに提示することに成功しています。
あまりに多くの要素が取り込まれているがゆえに非常に濃くありながらも聴きやすく、しかし強烈で、つい何度も耳を傾けてしまう、中毒性の高い作品です。ぜひ国内盤で訳詞を読み込みながら聴いていただきたいと思います。






Signal And The Noise [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC387)Signal And The Noise [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC387)
(2013/07/31)
Asian Dub Foundation、ADF 他

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