The Best 20 Discs of 2017 [H1]

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こんばんは。
早くも今年の半分が終わりまして、僭越ながら上半期ベストを20枚選盤させていただきました。
20位から5枚ごとに紹介し、簡単なコメントをつけていきたいと思います。

20位 Knivtid "Knivtid EP" (ACR)
19位 Kassel Jaeger & Jim O'Rourke "Wakes on Cerulean" (editions Mego)
18位 Kara-Lis Coverdale "Grafts" (Boomkat Edition)
17位 Oto HIax "Oto Hiax" (editions Mego)
16位 Imaginary Forces "Runnin's" (きょうRecords)

まずは20~16位。
まずは今年発見したロンドンの新興テープレーベルACRより、スウェーデンのミュージシャンKnivtidのデビューEPを。
全体的に2000年代頃のエクスペリメンタルな電子音楽シーンにあった空気みたいなものを追い求めている感じのレーベルなんですが、これはとても静謐でちょっぴりダークなドローン/アンビエントという趣で非常に良かったです。このレーベルの作品はちょいちょい購入してまして、年内にはまとめて何作かレビューできたらなー、とか思ってます。
他には、カセル・イェーガーとジム・オルークによるいかにもらしいドローンアンビエント作品や、ここ最近のティム・ヘッカー作品への参加などで知られるカラ=リス・カヴァーデイルのモダンクラシカル感漂うEP、これまた2000年代の空気が濃厚に漂うOto Hiax、Imaginary Forcesの未発表曲・ヴァージョンを集めた編集盤など、かなりの好盤ばかりで、上半期の時点でかなり今年の充実ぶりがよく分かるように思います。


15位 Second Woman "S/W" (Spectrum Spools)
14位 Basic Rhythm "The Basics" (Type Recordings)
13位 Bellows "Sander" (Latency Recordings)
12位 GAS "Narkopop" (Kompakt)
11位 Arto Lindsay "Cuidado Madame" (P-Vine./Panderosa)

15位~11位あたりから徐々に混戦の様相が強まってきます。
昨年鳴り物入りでデビューしたSecond Womanが早くも届けてくれた2ndは、1stに比べアンビエントな部分が前景化した感のある良作でしたし、同じく昨年素晴らしいデビュー作"Raw Trax"を発表したImaginary Forcesの別名義Basic Rhythmの2ndは昨年のインタビューでも本人が語っていた通り、ロンドンの海賊ラジオやクラブシーンへの敬意が感じられるコンシャスな一枚に仕上がったと思います。(まさかマジでケイト・ブッシュをサンプリングしてくるとは思いませんでしたが 笑)
Senufo Editionsの復活や、後に挙げるInvesting Masksの2ndなど、他の活動も精力的なジュゼッペ・イエラシのユニットBellowsはShelter PressとLatency Recordingsから一枚ずつ作品を出しており、どちらも素晴らしい出来だったのですが、個人的にはちょっとセンチな雰囲気のある"Sander"の方が好みでした。
そして復活組。GASは云年の沈黙が嘘のようにかつての通り…どころか、それよりも一歩も二歩もディープになった"Narkopop"で健在ぶりをアピールしましたし、アート・リンゼイは昨年のロウレンソ・ヘベッチスのプロデュースにおいても傾倒したカンドンブレのリズムを取り入れ、先鋭的ながら知性あるポップネスを見せつけた"Cuidado Madame"という素晴らしい作品でカムバックしました。
大御所のカムバックというとそれだけで一定の注目を集めるものですが、それに加えてまだまだ前進しよう・新しいことをやろうという気概にあふれた作品を作り上げたのは実に見事です。


10位 Helm "Rawabet" (A L T E R)
09位 Phornesis, Julian Argüelles & Frankfurt Radio Big Band "The Behemoth" (Edition Records)
08位 Inventing Masks "2nd" (Error Broadcasts)
07位 Andrea Belfi "alveare" (IIKKI)
06位 Loke Rahbek "City of Women" (editions Mego)

そして10~06位。
電子音楽のライヴを生々しくとらえた、正にスナップショットなHelmの"Rawabet"から始まり、過去曲をラージアンサンブルを迎えて新たに生まれ変わらせたPhronesis、音響彫刻のような緊張感を孕んだデビュー作から一転、サンプルのループを駆使して感傷的な空気をたっぷり漂わせたInvensting Masksことジュゼッペ・イエラシ、イタリアのIIKKIのプロジェクトの一環としてアートブックと見事な調和を見せたアンドレア・ベルファイ、多層的でクラシカルなトラックを粗いノイズで一層ミステリアスに、神秘的な空気を強調したローク・ラーベックのソロデビュー作など素晴らしい作品がいっぱいで困りました。
こうやって見ると、自分の傾向として、今年はちょっと電子音響/電子音楽寄りな年ですね。


05位 The Necks "Unfold" (Ideologic Organ)
04位 Porter Rciks "Anguilla Electrica" (Tresor)
03位 공중도덕(公衆道徳) "공중도덕(公衆道徳)" (Boranical House)
02位 Félicia Atkinson "Hand in Hand" (Shelter Press)
01位 tricot "3" (BAKURETSU RECORDS)

そして上位5作品。
正直どれも説得力の半端無い作品ばかりで、どれが1位でも全くおかしくなかったです。
しかしながらtricotは先日の素晴らしいライヴの影響もありますが、何よりやはり曲が、詩が、演奏が、そして歌が素晴らしいというポップミュージックとして最も根本的ば部分をばっちり最高の形で提示してくれましたので文句なしの1位とさせていただきました。
次からは静謐で、しかし芯の通った循環(というかグルーヴというか)すら感じさせる程に美しい歌もの(?)だったフェリシア・アトキンソン、実験精神が自家中毒を起こしまくった果てに出来上がったかのような怪作がついにフィジカル化した公衆道徳、かつて以上にデトロイトに傾倒し、正にミニマル・テクノというべき作風でカムバックしたPorter Ricks、ピアノトリオにおけるインタープレイの極北を魅せつけたThe Necksと続いていきますが、本当にこの5作については今年聴かずに終われないレベルの作品ばかりですので、是非とも年内に聴くのをおすすめします。


そして今月はすでにFoetusことJGサールウェルの素晴らしいレトロシンセ作品で幕が開き、下半期への期待が俄然高まっております。
あと半年でこのラインナップがどう変化するか、あるいはどんな作品がランクインしてくるのか、今から楽しみにしております。
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The Best 10 Discs of Jan.-Mar. 2017

こんばんは。
4月ももう終わりということで、すでに1年の3分の1が終わるということに戦慄せざるを得ない今日此の頃、いかがお過ごしでしょうか。
今年も新譜中心のリスニングを、と言いながらレゲエ(というかジャマイカ音楽)だのサイケだの掘りたい欲が出てきてしまって少しばかり新譜がおざなりになっている状況ですが、第一四半期のベストを発表します。

どのみち年末には順位つけるので、順位なしで10作品、という紹介にします。

The Necks "Unfold" (Ideologic Organ/LP)
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Taylor Deupree "Somi" (12K/CD)
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Gábor Lázár "Crisis of Representation" (Shelter Press/LP)
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Oto Hiax "Oto Hiax" (editions Mego/LP)
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Andrea Belfi "alveare" (IIKKI/LP)
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Arto Lindsay "Cuidado Madame" (P-Vine./Ponderosa/CD)
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Helm "Rawabet" (A L T E R/Cassette)
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Phronesis, Julian Argülles & Frankfurt Radio Big Band "The Behemoth" (Edition Records/CD)
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Basic Rhythm "The Basics" (Type Recordings/LP)
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The Bug vs. Earth "Concrete Desert" (Ninja Tune/CD)
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全体的にテクノ/エレクトロニカ/電子音楽にモードが傾いております。(その割に旧譜はサイケとかレゲエ、というのもまた不思議)
まだレビューが間に合っておりませんが、PhronesisやBasic Rhythmは相変わらず高レベルな内容で非常に良かったですし、トラップ/グライムmeetsストーナー/ドゥーム/ドローンというフォーマットでの決定的なコラボとなったThe Bug vs. Earthも素晴らしく、昨今のNinja Tuneの尖りっぷりがよく現れていると思いました。
あと個人的に嬉しかったのはテイラー・デュプリーやOto Hiaxの作品などに00年代初頭の頃のエレクトロニカっぽい雰囲気が強く感じられたことです、10年以上経ったことで、また揺り戻しがくるのかも、と予想しています。

その他、Son Luxのサポートを一身に受けて充実した作品となったyMusic、いかにもこの2人らしいコラボ作となったカセル・イェーガージム・オルークの共作、あるいはクレイグ・テイボーンの久々のECM作品やティグラン・ハマシアンのソロ、SubtextやEntr'acteといった尖ったレーベルからディストリビュートされたジョシュア・サビンフィル・ジュリアンといった電子音響作家の新作、そして水曜日のカンパネラのメジャー1stアルバムなど、素晴らしい作品が目白押しで、今年の年間ベストも混戦が予想されます。

とりあえず、近況報告代わりに。
PhronesisやBasic Rhythmのレビューもいずれしたいと思ってますのでお待ちください!

The Most 10 Discs of 2016

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さて新譜/再発モノときてラストは旧譜ベストということで、2016年の総まとめも漸く終了です。
新譜中心のリスニングだったこともあり、あまり旧譜は聴けていないのですが、5枚ずつコメントを入れて発表させていただきます。(( )内は発表年または発売年)

David Bowie "Scary Monsters" (1980)
Pierre Boulez "Le Domaine Musical 1956-1967" (2015)
Prince "Lovesexy" (1988)
Tony Conrad with Faust "Outside the Dream Syndicate" (1972)
冨田勲 "月の光 Ultimate Edition" (1974/2012)


昨年は様々なミュージシャンが亡くなった関係もあり、それらミュージシャンの作品を聴くことが多かったように思います。
ボウイプリンス(殿下)はここ数年離れていたのですが、ディスコグラフィを聴き返す切欠が彼らの死であったということに申し訳無さを感じつつ、やはり素晴らしい、良質な作品を何枚も残したレジェンドであったと改めて実感しました。
ボウイについては新作"★"も素晴らしかったですし、改めて聴いた中では"Hunky Dory"などにも心惹かれましたが、やはり個人的な偏愛盤を、ということで1980年作の"Scary Monsters"を。特に、'Ashes to Ashes'は自分のキャリアをメタ的に、アートに昇華してしまうという彼の技法の最たる名曲であり、彼が自分の死を(不確定要素はあったとしても)アートとしてしまったことに通底するのではないかと思います。
殿下の方は新作を聴けなかった(罰当たり)のですが、改めて聴き直した中ではやはり"Lovesexy"が最高傑作かな、という結論にいたりましたので選ばさせていただきました。
さらに、2016年の訃報で改めて初期のドメーヌ・ミュージカル時代のBOXに触れることができたブーレーズ、元素記号表レーベルのデラックス・エディションを持っていたので購入は見送りましたが、改めて再発のなされたトニー・コンラッド、そして聴こう聴こうと思いながら聴けていなかった冨田勲など、改めて、素晴らしい芸術家達が何人も亡くなり、一時代の終わりを感じさせる一年であったと思います。
ここに作品を挙げていない方も含め、改めてご冥福をお祈りいたします。


Grateful Dead "Blues for Allah" (1975)
菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール "戦前と戦後"(2014)
KOHH "Dirt" (2015)
水曜日のカンパネラ "ジパング" (2015)
THA BLUE HERB "Stilling, Still Dreaming" (1999)


そして、昨年になってようやく手を出した作品も数多くありました。
年始辺りから日本のHIPHOPにちょろちょろ手を出しており、キングギドラなど王道なところから抑えていっておりましたが、THA BLUE HERBのヒリヒリとした緊張感にはまずやられましたし、好評は聴いておりましたが宇多田ヒカルの新譜への参加もあってやっと聴いたKOHHも、リアルな閉塞感や諦念がパッケージされた鬼気迫る作品だったと思います。
そんな中、HIPHOP枠に入れていいかどうか分かりませんが水曜日のカンパネラにもハマり、ギャグすれすれ(というかギャグ)の言葉と以外にシリアスなトラックのギャップを楽しみました。
他には、2016年の新譜として出たコンピ"Day of the Dead"に触発されて改めて未聴作品にアプローチしたThe Grateful Deadや、ふと聴いた菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラールなども素晴らしい作品でした。


こうやって見ると邦ミュージシャンが多いですね。
やはり個人的に未開のジャンルだった邦HIPHOPに手を出したのは大きかったのかもしれません。

今年の旧譜はどうなるか、と思いますが、年始から突如カンタベリー・ミュージック(というかソフツ)がキテるのでそっち関係から掘り下げることになる…のかな?
何にせよ、素晴らしい旧譜との出会いも、新譜同様期待したいと思います。

改めまして、本年もよろしくお願い致します!

The Best 10 Reissues of 2016

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さて、昨年のリイシューからのベストです。
新譜中心だったのでそれほど多くは購入しておりませんが、結構重要な再発が多かった印象です。


01. La Monte Young & Marian Zazeela "The Theatre of Eternal Music: Dream House 78' 17""
02. Nurse With Wound "Thunder Perfect Mind"
03. Slum Village "Fantastic Box"
04. Frank Zappa & The Mothers of Invention "Meat Light: Uncle Meat Project/Object"
05. XTC "Skylarking"
06. 鈴木慶一とムーンライダーズ "火の玉ボーイ 40周年記念デラックス・エディション"
07. The Pop Group "For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?"
08. V.A. "Dread Operator"
09. binaria "10th Anniversary Box"
10. Public Image Ltd. "Metal Box"



あまり順位をつけるつもりは無いのですが、ラ・モンテ・ヤングとマリアン・ザジーラによる1974年の"Dream House 78' 17""のリイシューは間違いなく今年の最重要案件だったのではないでしょうか。
デジタルのDL込のLPリイシューということで、Aguirre Recordsは非常に丁寧な、質の高い再発をしてくれたと思います。

そして、年末に飛び込んできたNurse With Woundの1992年作"Thunder Perfect Mind"も素晴らしかったです。
ビートとテクノイズが交錯するNWW流テクノとでもいうべき刺激的な音に併せ、相変わらずの悪趣味音響世界が繰り広げられる、ジャケット通りの悪徳の宴的な雰囲気が正に年末のインダストリアルな気分に非常にマッチしました。
ちなみに、Current 93がNWWと申し合わせて同年に発表した同名の作品もさり気なくリプレスされたらしく、bandcampのページなどでフィジカル(CD)が購入可能です。
こちらは80年代後半以降のアポカリプティックフォーキーな作風の中でもとりわけ傑作と言うべき説得力を感じさせる作品で、NWWと併せて楽しめることは間違いないでしょう。

また、箱モノではSlum VillageのFantasticシリーズをまとめた4CD+5EP(12")、80年代初頭にエイドリアン・シャーウッドが関わったOn-U作品をまとめた"Dread Operator"、binariaの結成10周年を記念して発表された過去のEPをまとめたBOX、そしてPiLの名作"Metal Box"のデラックス再発(届いたのは今週ですけど…)などがあり、"Metal Box"(イコール"Second Edition"と考えれば、ですが)以外はいずれも個々数年入手困難だった作品群がまとめて手に入るということで非常に嬉しい再発でもあったように思います。

その他、2012年の再発時には承認マスターが用いられており、今回漸く発表当時のヴィニールMixにて再発されたザッパの"Meat Light: Uncle Meat Project/Object"や、毎年恒例となった感のあるスティーヴン・ウィルソンによるXTCの5.1chリミックス(今回は"Skylarking")など、入手自体は難しくなくとも、新たなMixでリイシューされたもの、箱モノ同様入手困難だったThe Pop Groupの"For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?"なども多くの方の興味をそそる再発だったのではないかと思います。

あとは、個人的に今年はムーンライダーズの年でして、3月はT.E.N.Tレーベル時代("Animal Index"、"Don't Trust Over Thirty"、"The Worst of Moonriders")、のBOXが、10月にはライヴ(高松)が、そして12月には初期の鈴木慶一とムーンライダース名義の"火の玉ボーイ"とCrown時代のBOXが、と非常に再発&イベントてんこ盛りで地味にライダーズ漬けな一年だったようにも思います。
中でも"火の玉ボーイ"はとっとと手に入れておかなかったことを後悔したくらいに素晴らしい作品だったのでここに挙げさせていただくことにしました。

こんな感じで昨年のリイシューベストとさせていただきます。
今年も好リイシューを楽しみにしております!

The Best 20 Discs of 2016

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ついに大晦日、ということで今年も残す所あと24時間を切りまして、皆様いかがお過ごしでしょうか。
なんとか年内に今年のベストを選出いたしましたので発表したいと思います。

5作品づつ挙げながら簡単にコメントしていきます。
なお、今回から作品名の後ろに購入したフォーマットも記載しておきます。
まずは20~16位。

20位 フレデリック "フレデリズム" (CD+DVD)
19位 Various Artists "The Colorado: Music from the Motion Picture" (CD)
18位 Darcy James Argue's Secret Society "Real Enemies" (CD)
17位 TAMTAM "NEWPOESY" (CD)
16位 Thomas Brinkmann "A Certain Degree of Stasis" (CD)

毎年のことですがこの辺りは混戦でした。
今年は(偶数年は良い新譜に出会いづらいという個人的なジンクスに反して)豊作であったがゆえに、どの作品が入ってもおかしくない状況でして、泣く泣く選外とさせていただいた作品がかなりあります。
ここに出ている5作品はその中でも印象が強かったもの、ということになりますが、TAMTAM&フレデリックの邦ロック/ポップス勢は、タイトでまとまりのある前者と、インディーズから今までの成果をてんこ盛りにした後者ということでどちらも充実の作品だったと思います。
ブリンクマンは2作リリースしたどちらもが力作で、eMegoからの"A 1000 KEYS"も捨てがたかったのですが、説得力というか風格という点ではこちらに軍配です。
また、今年の個人的なトピックとしてはインディークラシック/New Amsterdam Recordsを強くフォローしてきたことが挙げられますが、そちらからはラージアンサンブルでジョン・ゾーンも思い起こさせるスリリングな作品を作り上げたダーシィ・ジェイムス・アーギューと現代的な合唱の妙を魅せつけてくれたRoomful of Teethを選出させていただきました。

続いて15~11位。

15位 D/P/I "Composer" (CD)
14位 Raime "Tooth" (CD&LP)
13位 He Was Eaten By Owls "Chorus 30 From Blues For The Hitchhiking Dead" (CD)
12位 Sendai "Ground & Figure" (LP)
11位 Joanna Wallfisch "Gardens in My Mind" (CD)

ここらあたりから自分の嗜好がはっきりと反映されてき始めているような気がします。
ポストパンク的な尖った音像で現代的な実験音楽やベース・ミュージックを鳴らしたD/P/IとRaime、多層的かつラグジュアリーとすら言えそうなほどに丁寧にレイヤーされた音響と、そのテクスチュアを存分に聴かせつつもフロア的なリズムプログラミングも巧みに溶けこませたSendai、そしてピアノ(ダン・テファー)とのデュオに弦楽四重奏を加え再構築したジョアンナ・ウォルフィッシュと力作揃いです。
そして、中でも特に取り上げたいのは13位のHe Was Eaten By Owls。マスロック×チェンバーミュージックというすごく有り得そうでありながら、なかなか「これこそ!」というものがなかった部分で名作といえるものがようやく出てきたのかな、という気持ちです。
ちなみに、RaimeをCDもLPも所有してるのはレーベル側の手違いで両方手に入ったからです。(ちゃんと連絡済み。もらっといて、とのことでした 笑)

続いて10~6位。

10位 Eyolf Dale "Wolf Valley" (CD)
09位 Second Woman "Second Woman" (LP)
08位 Claire M Singer "Solas" (CD)
07位 Basic Rhythm "Raw Trax" (LP)
06位 Lourenço Rebetez "O Corpo de Dentro" (CD)

まず、ラージ、とまで行かずともある程度大所帯のスモールコンボで豊かなサウンドを残してくれたローレンソ・ヘベッチスとアイオルフ・でイルが両者ともランクインしています。
アート・リンゼイをプロデューサーに招き、現代ジャズのリズムワーク的な側面にフォーカスして先鋭的な作品作りをした前者と、北欧らしい透明感と叙情性にあふれたメロディをしっかりと支えるアンサンブルが豊穣な印象を残す後者とで、方向性は違いますがアレンジメントの重要性を改めて提示しているととることもできるかもしれません。
ダブ/ベースミュージックの流儀に則って素晴らしい作品を残してくれたのはアンソニー・J・ハートによるBasic Rhythm(A.K.A. Imaginary Forces)と元telefon tel avivのジョシュア・ユースティスとBelongのターク・ディートリッヒによるSecond Womanです。
まるでデトロイトテクノに立ち返ったかのようなストリート感覚にあふれた前者と、往年のautechreも思わせるようなIDMっぽさが今の時代逆に(?)新鮮だった後者と、こちらも対称的ですが両作品とも非常に面白かったと思います。
そして2枚組の重厚かつスピリチュアルな作品で素晴らしいデビューを飾ったクレア・M・シンガーも忘れてはいけませんね。

では、最後に5~1位を。

05位 Moe and ghosts × 空間現代 "RAP PHENOMENON" (CD)
04位 tricot "KABUKU EP" (CD)
03位 Natasha Llerena "Canto Sem Pressa" (CD)
02位 Kassel Jaeger, Stephan Mathieu & Akira Rabelais "Zauberberg" (LP)
01位 Phronesis "Parallax" (CD)

かねてより申しておりましたとおり、1位はPhronesisの"Parallax"です。
ピアノ/ベース/ドラムの3者が平等に曲を持ち寄り、遠慮なく互いを挑発し合い、サポートしあう演奏を行うことで生まれた素晴らしい傑作です。
同様に素晴らしいのは2位のカセル・イェーガー/ステファン・マシュー/アキラ・ラベレーによる共作"Zauberberg"です。
正直どちらが1位でもおかしくないというか、同率1位にしたいくらいなのですが、個人的なルールとして同率は設けないことにしてますので泣く泣く2位にさせていただきました。
そして、先述のクレア・M・シンガーと同様今年度の最優秀デビュー作と言えそうなのが3位のナターシャ・レレーナ。
資金調達がうまく行かなかったようでCD-Rでのリリースとなったようなのは残念です。いくらか寄付しようかと思いましたが私のクレカやPaypalでは送金が出来なかったので悔しいですが、本作の素晴らしさ/豊かさは保証しますので、皆でCD-R買ってサポートしましょう。もちろん、CDで再販されたら買い直します。
そして邦楽勢からは昨年ベストに選出させてもらったtricotの新作EPと、Moe and ghostsと空間現代によるコラボ作がランクイン。
tricotはとにかく、本当にいい曲書いてます。次のアルバムえらいことになるんじゃないかな、と期待しっぱなしです。
Magと空間現代は両者の魅力が完全に混ざり合ってしまうことなく、むしろちぐはぐさも残しながら併存している、ロック×HIPHOPとしても象徴的な作品だったと思います。

今年は新譜中心の購入、そして、聴いた作品は必ずレビューという縛りを設けてやってきたことで本blogの更新も(玉石混交ながら)ゴリゴリとやれて充実感がありました。
新譜レビューの方は後半色々あったこともあって最後までやりきれなかったのは心残りではありますが、来年も心機一転、更新頻度をある程度保ちつつ、記事の質ももっとアップさせていきたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

最後に、今回選出した20枚から1曲づつ選んでMIXを作りましたので、よければお楽しみください。
それでは皆様、良いお年をお迎えください!

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