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Arthur Russell "Springfield"

springfield.jpg


Artist: Arthur Russell
Album: "Springfield"
Label: Audika Records
Year: 2006

Tracklist
01. Springfield (8:35)
02. Springfield [DFA Remix] (7:55)
03. Springfield [Detail] (1:14)
04. See My Brother, He's Jumping out [Let's Go Swimming #1] (7:55)
05. Corn #3 (5:30)
06. Hiding Your Present from You (4:44)
07. You Have Did the Right Thing When You Put that Skylight in (3:56)


アーサー・ラッセルの音源発掘を行っているAudikaより、06年に発表された編集盤。
以前blogでは、ラッセルの作品として、Audikaによる発掘作業の最初の成果でもある未発表曲集及び、ディスコ転向後では存命中に唯一本人名義で発表された"World of Echo"を紹介しました。

今作はそれらフルレングスのアルバムとは違い、タイトル通り'Springfield'という楽曲を中心に据えたEPという扱いです。
未発表曲集"Calling Out of Context"ではフォーキーな歌の感覚とディスコ由来のビートが彼らしいポップかつ柔らかな質感でまとめあげられた作品でありましたし、"World of Echo"はまさにその名の通り残響の世界に全てが浮かんでいるかのようにエクスペリメンタルな作風でしたが、今作はそれらとやや違い、もう少しディスコよりな感じです。

冒頭3曲(というか1曲)の'Springfield'は88年という録音時期もあってか、彼の音楽のまさに集大成といっても過言ではない内容となっています。
未発表作品"Corn"(マテリアルは"Calling Out of Context"と、本作にも4~7曲目収録)が85年、"World of Echo"が86年ですが、それら両方の特質が巧みに融け合っています。

80年代的な、ドリーミーなシンセサイザーと、強い残響を浮遊させるチェロの響き、そして彼のつかみ所のない歌声。
これらが反復するディスコ・ビートの上で漂いますが、ビート自身の質感もダビーで軽く、非常にスカスカなため、全体的に幻想的かつ酩酊的な空気が充満しています。(その空気が"First Thought, Best Thought"で聴ける初期の現代音楽作品から通底しているように思えるのも驚きです)
後半は気怠いブラスなども入ってくるうえに、ラッセル自身の歌もよりぼそぼそとしたとりとめのないものに変わっていくのですが、これがまた何とも言えず心地よい、夢見心地のエピローグへと変質していきます。
8分半の曲ですが、正直30分くらい聴いていたい気分(笑)

DFAのリミックスはよりフロア向けで、ビートはややヘヴィな質感、3曲目は「Detail」という名前の通り細部を強調して圧縮したような要約版といった趣です。
4~7曲目は"Corn"録音時の未発表音源ですが、"Calling..."収録のものよりはビートの立ったものが多いです。
4曲目は彼のプロジェクト・バンドDinosaur Lにも通じるようにミニマルかつファンキーですし、5曲目は"Calling..."の雰囲気に"World of Echo"の残響チェロをぶつけたような、エスニックな幻覚世界が繰り広げられています。

40分弱というサイズも手伝い、ちょっとした時間にふと聴き直したくなる作品の一つです。
特に表題曲は、個人的にラッセル楽曲の中でも1、2位を争うくらい大好きだったりします。
今月にはエイズ撲滅キャンペーンのRed Hotシリーズでラッセルへのトリビュート盤が出るとのことですので、併せて聴いてみてはいかがでしょうか。






SpringfieldSpringfield
(2006/09/12)
ARTHUR RUSSELL

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ROVO "RAVO", "RAVO DUB"

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Artist: ROVO
Album: "RAVO"/"RAVO DUB"
Label: Wonderground Music
Year: 2010/2011

Tracklist
01. TANGER/TANGER DUB (12:50/!0:25)
02. ECLIPSE/ECLIPSE DUB (11:11/4:52)
03. BAAL/BAAL DUB (12:04/12:03)
04. RMD/RMDUB (13:12/13:18)
05. SINO+/SINO+DUB (14:20/6:48)


さて、半月ほどやってまいりまいした山本精一強化期間、第四弾である今回で締めということで、今回個人的に『再発見』と相成りましたROVOの10年作"RAVO"及びそのダブ作品"RAVO DUB"を紹介したいと思います。

山本精一の数ある活動/バンドの中でも、特に一般リスナーへの人気が高いバンドというと、間違いなくROVOだと思います。
そのROVOですが、結成動機は山本と、ヴァイオリニスト勝井祐二との「何か宇宙っぽいでっかいことをやろう」というアイディアに基づいています。
このアイディアは結成当初から(多少形は変えながらも)変わらずROVOというバンドの根源として、彼らの音楽性を一貫させています。

一般的には人力トランス・バンドとして受容されているところの多い彼らですが、実際のところ「踊れる」というのは彼らの音楽の一つの側面でしかありません。
彼らの音楽を、あえて表現するならば「スペース志向のプログレッシヴ・ロック」というのが最も近いような気がします。

彼らの活動は、現時点から見て大雑把に3つに分けられます。
・初期("PICO!"~"SAI"):ジャーマン由来の電子音/ミニマル要素重視の時期
・中期("FLAGE"~"NUOU"):大作志向、1曲10~15分程度という様式の確立
                   プログレ的な物語性のある展開/フュージョン的なグルーヴの導入
・現在("RAVO"以降)

すなわち、今回紹介する"RAVO"はいわば第3フェイズの第一歩となった作品であり、そしてまた、彼らの作品の中で唯一ダブ盤"RAVO DUB"が作られた作品でもあります。
現在のROVOの音楽性は、というと、やはり初期/中期の音楽性に立脚していることは間違いありません。
が、それと同じかというとそんなことはなく、むしろそれぞれの時期の音楽的特徴を統合し、より洗練されたものとして完成させたような印象があります。

一聴して気づくのは、ミニマル要素の復権(=大仰な叙情性の抑制)です。
"FLAGE"以降の彼らの音楽では、明確な「展開/物語」を楽曲中に見出すことが出来ました。"FLAGE"の冒頭を飾る'CANVAS'からして、ヴァイオリンのまるでヴォーカルのようなメロディや、そこから生じる楽曲の「歌曲」然とした佇まい、そして練りに練られた楽曲展開という要素の揃った、非常に美しい起伏/抑揚を持った素晴らしい楽曲であったことからも分かりますし、その音楽はトランスというよりもむしろプログレ的ですらあったと思います。

今作でも、そういった要素は見られますし、ヴァイオリンの「歌メロ」を重視するような、柔和な音作りは継承されているものの、かつてのような大仰な楽曲展開は極力排されているように感じます。
代わりに感じるのは、より「執拗な」感触のある、フレーズの反復です。(微妙に、先日紹介したPARAに近いものを感じます)
非常に抑制の効いた厳格な演奏は、彼らの音楽の根源(の一つ)でもあったジャーマン要素やサイケデリック要素を再度強調することにつながっていますが、そこには中期の美しい、流麗な楽曲構成や音使いが反映されており、ジャーマン/サイケの陶酔感とは別の部分で楽曲を美しく彩っています。

今まで主たるテーマにありながら、やや分断された形で提示されていたこれらの要素が、極めて洗練された形で統合されている、まさにこの時点までの音楽の総決算であるとともに、また新たな第一歩として相応しい作品だと言えるでしょう。
だからこそ、彼らもそれまでにない「ダブ盤」を作成したのだと思います。
こちらは、よりドラムとベース、シンセサイザーを強調し、ギター/ヴァイオリンを抑えることで、楽曲のサイケデリックな要素を増大させていますが、所々原曲以上にメランコリック/ドリーミーな部分もあって非常に面白いです。
タワーレコード限定ということですので、手に入るうちに早めに確保しておくことをおすすめします。


'ECLIPSE'



'TANGER DUB'




RAVORAVO
(2010/11/03)
ROVO

商品詳細を見る


Tower Records Online: RAVO DUB<タワーレコード限定>

Burial "Burial"

burial-1-burial-disc-cover-31333.jpeg

Artist: Burial
Album: "Burial"
Label: Hyperdub
Year: 2006

Tracklist
01. Untitled (0:36)
02. Distant Lights (5:26)
03. Spaceape (4:02)
04. Wounder (4:52)
05. Night Bus (2:20)
06. Southern Comfort (5:02)
07. U Hurt Me (5:23)
08. Gutted (4:43)
09. Forgive (3:07)
10. Broken Home (5:05)
11. Prayer (3:46)
12. Pirates (6:16)
13. Untitled (0:55)

ダブステップにおいて、最も異端児と呼ばれるに相応しいBurial(バリアル/ベリアル)、衝撃の1st。
彼はこの前に発表したシングル"South London Boroughs"とこのアルバムだけで、ダブステップ界の帝王の名を欲しいままにしました。

幅広く、果てはTVゲーム(メタル・ギア・ソリッドなど)からもソースを引き出してくるサンプリング・センス、ダビーというよりはもはやドローン状に融解しかけたベース、2ステップ・ビートを大元として、より過激に、極端につんのめらせた独特のビート、R&Bなどを中心とした素材に変調をかけ、まるで都会の亡霊のような空気を漂わせるヴォイス・サンプル。

クラブというよりは、ロンドンの街中で、閉塞感を抱えながら生きる若者たちの「リアル」をそのまま音にしたような、陰鬱で、醒めていて、そして現実感の希薄さに起因する浮遊感(足元のおぼつかなさ?)を感じさせるベース・ミュージックに仕上がっております。

以前ジェイムス・ブレイクをレビューしたときにも言いましたが、これが今の時代最もリアルなブルーズなのではないかな、と個人的には思っています。2000年代に生きる、若い都市生活者のブルーズ、それこそがBurialがダブステップ界に堂々と提示したものであり、そしてダブステップ界を大きく揺るがした最たる原因なのではないでしょうか。

昨年~今年にかけ、4年ぶりに単独名義で発表したEPでは新境地の片鱗を魅せつけてくれましたし、まだまだ先が楽しみなミュージシャンの1人です。






Burial (HDBCD001)Burial (HDBCD001)
(2006/11/21)
Burial

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Shackleton "Fabric 55: Shackleton"

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Artist: Shcakleton
Album: "Fabric 55: Shackleton"
Label: Fabric
Year: 2010

Tracklist
01. Come Up (4:45)
02. Moon Over Joseph's Burial (0:57)
03. Hypno Angel (2:51)
04. Visontele (2:22)
05. Interlude: Blood Rhythm With Wishy Drones (2:22)
06. Operatic Waves (2:22)
07. Closeness to Nature (2:51)
08. Negative Thoughts (3:13)
09. Death Is Not Final (feat. Vengeance Tenfold) (2:58)
10. International Fires (4:34)
11. Paper (1:50)
12. Deadman (5:02)
13. Interlude: Point One, Sense It (1:24)
14. Man On A String (Part 1) (4:30)
15. Man On A String (Part 2) (6:10)
16. Ice (2:18)
17. Busted Spirit (4:34)
18. Bottles (5:57)
19. New Dawn (4:02)
20. Something Has Got To Give (0:55)
21. Massacre (5:02)
22. Stripped (3:29)


ダブステップ界きってのシャーマンShackletonがUKの名門クラブFabric監修のMIX-CDとして発表した作品。
普通MIX-CDというと様々なミュージシャンの楽曲を繋ぎあわせて作るものでしょうが、なんと彼が作ったのは全曲自作(別名義含む)のMIX-CDでした。よほど自分の楽曲・世界に自信があったのでしょう。未発表曲12曲まで総動員で、1時間強の間彼の世界にどっぷり浸れる作品になっています。

Burialを筆頭として、異端児の多い印象のダブステップ界(及びその周辺)においてすら彼のサウンドは非常に独特です。
「ダブ」ステップの名の通りダビーな感触のビート、這いまわるような重さを持ちながらも軽快にスウィングするベース、ところかまわず跳ねまわるアフロ・パーカッション。

それらの要素が生み出す、喩えようもなくクールなポリリズムは、彼の音楽を「ベース/ビート・ミュージックでありながらも、どこまでもチルできる音楽」として成立せしめています。
ある意味ではUKダブとしての正統進化系であり、最先端の音だと言えるでしょう。

そして、そこに不遜にかぶさってくる亡霊のようなヴォイス・サンプルと引きつった電子音響/ドローンにより、彼の音楽は不気味な祝祭性/トランス感覚を帯びていきます。
聴いていると徐々に深い闇の中に身を落とし踊り続けるような、忘我/亡我のサイケデリアを感じることでしょう。どこかで「ゾンビが踊るアフロビート」なんて評を見た気がしますが、言い得て妙です(笑)

MIX-CDですので当然ながらノンストップ。はっきりいって、かなり中毒性高いですよ。オススメです。






Fabric 55 ShackletonFabric 55 Shackleton
(2011/01/11)
Shackleton

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Arthur Russell "Calling Out of Context"

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Artist: Arthur Russell
Album: "Calling Out of Context"
Label: Audika
Year: 2004

Tracklist
1.Deer in the Forest Pt.1 (1:35)
2.Platform on the Ocean (8:04)
3.You and Me Both (3:45)
4.Calling Out of Context (5:45)
5.Arm Around You (6:32)
6.That's Us/Wild Combination (6:58)
7.Make 1,2 (2:49)
8.Hop on Down (6:02)
9.Get Around to It (4:58)
10.I Like You! (5:01)
11.You Can Make Me Feel Bad (1:28)
12.Calling All Kids (7:15)

今回はディスコです。…とは言ってもこの人はちょっと特殊ですが。

このアーサー・ラッセルという人はUSはアイオワ生まれのチェリストです。
多数の変名を用いて作品を発表したことでも知られており、特にDinosaur L名義での'Go Bang'やLola名義での'Wax the Van'などが名曲として知られています。

実を言うと、彼はとても複雑な経歴の持ち主のようです。まずはサンフランシスコでインド古典音楽家のアリ・アクバル・カーンの音楽教室へと通い、その後はフィリップ・グラスなどのミニマル系の現代音楽家達と親交を深めていたようです(この頃の音源は"First Thought Best Thought"という作品で聴くことができます)。また、仏教系のコミュニティにも所属していたという情報もあります。

そしてその後80年代に入り、ゲイであった彼はそのコミュニティから発展したディスコ・ムーヴメントへと身を投じるわけですが、そういった経歴も手伝ってかその作品は反復的な構造に加えて不思議な浮遊感を有するものとなりました。

この時期の作品は本名ではあまり発表されなかったようです。
今も膨大な録音の数々が眠っているらしく、92年の死から10年以上経った最近になって、それらの作品が陽の目を見るようになりました。

そのうちの一つであるコレは、彼のディスコ的側面を表すとともに、なんとも柔らかなフォーク感覚を内包しているのです。それは他の作品で見せるチェロの弾き語りなどに通じるもので、彼の音楽的な多彩さを示しているように思います。バブルガムで、夢を見ているかのような、その実覆いきれない悲しみ(=現実)を付きつけられているかのような、なんとも多彩で複雑な世界。

現在我々は彼の作品を多く聴くことができます。これからもまだまだ未発表の作品が出てくるのでしょう。
しかしどれほどの作品が衆目にさらされようとも、彼を理解できる人は一人もいないのかもしれません。



Calling Out of ContextCalling Out of Context
(2004/02/17)
Arthur Russell

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