2017年3月の新譜

Acid Pauli "BLD" (Ouïe)


Phil Julian "Relay" (Entr'acte)


Phronesis, Julian Argülles & Frankfurt Radio Big Band "The Behemoth" (Edition Records)



とにかくPhronesisが楽しみ。
あと、再発ものでエリオット・スミスの"Either/Or"のデラックス・エディションを購入予定です。
スポンサーサイト

Gábor Lázár "Crisis of Representation"

0112_gaborlazar.jpg


Artist: Gábor Lázár
Album: "Crisis of Representation"
Label: Shelter Press
Year: 2017

Tracklist
01. Crisis of Representation 1 (4:24)
02. Crisis of Representation 2 (4:12)
03. Crisis of Representation 3 (4:20)
04. Crisis of Representation 4 (4:19)
05. Crisis of Representation 5 (2:57)
06. Crisis of Representation 6 (3:51)
07. Crisis of Representation 7 (9:04)
08. Crisis of Representation 8 (4:41)


イメージを想起させるような視覚的な音、という表現がなされた作品は今までにも多くありましたが、ブダペストを拠点に活動するガボール・ラザールによる新作"Crisis of Representation"ほどその表現が適切な作品はないのではないでしょうか。
むしろ、彼が今作で鳴らす音は、まるで視覚情報をそのまま聴覚情報に変換しているかのような錯覚すら覚えるほどに立体的で、そしてまた、ソフィア・ボーダによる(本当の視覚情報であるところの)アートワークのように透き通っています。

本作は2011年から2016年までの間に録音されたマテリアルを集めたものということですが、これらの音の間に5年もの歳月が横たわっているとは到底思えないほどに音の質感は統一されています。
先ほど「アートワークのように」と表現しましたが、本当に特徴的な音でして、水晶のような透徹とした雰囲気を持ちつつも、3D映像のように非物質的で(なのに)立体的、というなんともSFチックな響きのテクスチュアでもってアブスラクトなテクノ・ミュージックを形作る様には、どこか"Gantz Graf"以降のautechreへの類似性を感じます。
そういえば、あちらは聴覚情報をそのまま視覚情報に変換したかのようなMVが制作されていましたね。

楽曲そのものはautechreほど破壊的ではなく、アブストラクトでありながらもどこか「ノれる」ものに仕上がっています。
鋭角なビートがスクリューされ、引き伸ばされつつミニマルにリズムを刻む様子はアートワークのような3Dイメージが自由自在に動き、変化しているかのようでもあります。

レーベルのインフォによると「ただ一種類の特徴的な音色と、わずかな作曲技法(only one type of characteristic sound and a few composition techniques)」で本作は構成されています。
すなわちこの作品は、とにかくただこの音のテクスチュアのみを楽しむためのものなのです。
「音響派」なんて定義の曖昧なタームが過去にありましたが(というか便利なので未だに言っちゃいますけど 笑)、ただ音のテクスチュアだけを押し出した本作こそ、正に「音響派」の名作といっても過言ではないでしょう。


Oto Hiax "Oto Hiax"

0127_otohiax.jpg


Artist: Oto Hiax
Album: "Oto Hiax"
Label: editions Mego
Year: 2017

Tracklist
01. Insh (2:29)
02. Flist (3:47)
03. Dhull (1:46)
04. Eses Mitre (6:33)
05. Creeks (5:15)
06. Bearing & Writhe (1:34)
07. Littics (2:35)
08. Thruft (3:48)
09. Lowlan (4:42)
10. Hak (3:39)
11. Hok (3:37)
12. Loyal Odes (5:47)


Seefeelのマーク・クリフォードとLoops Hauntのスコット・ゴードンによるエクスペリメンタル・プロジェクトOto Hiaxが、2011年の結成以来6年の歳月をかけ、満を持して発表したセルフタイトルの1stは、実に様々な音(正に"Oto"?)が絶妙にレイヤーされ、ミニマルに反復しながらもポップネスを滲ませる快作でありました。

お恥ずかしながら、私はSeefeelもLoop Hauntも聴いたことがないので、彼ら二人がそれらメイン・プロジェクトで聴かせる音は存じ上げていないのですが、今作に収録された楽曲においては、多くの箇所で人懐こいメロディが慎ましやかに鳴り響いているのが聴き取れるでしょう。
それらのメロディは、00年代のエレクトロニカ/電子音楽(特に、個人的に偏愛している12K)にも通じるような牧歌性を帯びていますが、(特にそれらの類の音楽がそこそこのムーヴメントを形成した際に、雨後の筍のように現れた)創意工夫の感じられない凡庸な
ユニットが漫然と羅列し、それに乗っかったリスナーが「美メロ」的に持ち上げたような安易な鳴り方はしていません。

それらメロディは決して楽曲の主要素となることなく、室内楽的で優雅なテクスチュアを持った楽音や、サイケデリック・ロック/クラウト・ロックを想起させるような軽く薄いディストーション・サウンド、ディープで透き通ったドローン、アナログシンセと思しきオールドスクールな質感の電子音、そしてゴトゴト・ゴツゴツとした具体音などと並置され、その中に埋もれ、そして時に浮かび上がります。

それらは入れ代わり立ち代わり浮かび上がっては消え、まるで万華鏡のようにサイケデリックな酩酊感を聴く者に経験させるでしょう。
さらに、随所に即興的な空気を滲ませるような展開を見せつつも、楽曲はミニマルな反復を基本的な骨子として成り立っているものばかりで、そのストイックな所作にはやはりeMegoらしい前衛的な姿勢が見て取れるように思います。

しかしながら、冒頭でも述べましたように、主要素として押し出されることなく、控えめに仕込まれた牧歌的なメロディが本作を単なる実験的な作品だけでは終わらせず、ポップネスとの両立を達成しています。
ここにある音は、最先端の、カッティングエッジなものではないかもしれませんが、非常に豊かなものだと思いますし、00年代の電子音楽の、理想的な模範解答(の一つ)と言っても、間違いはないでしょう。


Andrea Belfi "alveare"

0123_andreabelfi.jpg


Artist: Andrea Belfi
Album: "alveare"
Label: IIKKI
Year: 2017

Tracklist
01. Vano (7:38)
02. Statico (3:32)
03. Grigio (9:24)
04. Abito (5:20)
05. Passo (8:34)


近年デヴィッド・グラブスとのコラボレーションなどでも注目されているアンドレア・ベルファイの新作が、アートブックとレコードというコラボレーションによる美術作品を展開するイタリアのレーベルIIKKIの第二弾作品として発表されました。

『蜂の巣』を意味するイタリア語を冠する本作は、第二次世界大戦後のイタリアで、先進的な建築家達によって建造された巨大集合住宅(Nuovo CorvialeやRozzol Melara)をテーマにしたもので、アートブックの方はマティアス・ハイデリック(Matthias Heiderich)という方による、それら建造物の写真集となっているようです。

多くの人が住まうことができるよう、合理性を追求したと思われる巨大集合住宅は、日本で言えば都営住宅・市営住宅のようなものに似ているのではないかと、写真を見る限りでは思われます。
近未来的ではありつつもどこか画一性からくる不安を煽るような建造物の雰囲気は、湿気の多い日本ではなにか淀みが生まれ、ホラー映画の舞台として多用されるものであるのは皆様御存知でしょうが、マティアスや、そしてベルファイらイタリア人にとっては少々趣が違うようです。

このアートブックに対してベルファイは、自身による呪術的なドラム/パーカッションと、シンセサイザーによって生み出されたひやりとした音響でもって形作られた音楽を提供しています。(3及び4曲目にはゲストミュージシャンが参加)
打楽器の有機的な響きと、シンセの無機質な響きとが絶妙に和合しながらリヴァーブをかけられ、まさにマティアスがNuovo CorvialeやRozzol Melaraを表現して言うところの「無限の廊下」にて反響し続けているようにも思える音空間を作り出しています。

シンセサイザーによるドローンが描く音程の推移は、非常に弱々しくもノスタルジックな感情を喚起し、その上を舞うパーカッションや電子音はかつてそこに住まう人たちが見た夢の断片のようでもあります。
そこには、人の生活という「自然」と画一的な住居という「不自然」が同居したがゆえの、一種独特な魅力が存在するようにすら思えます。

ベルファイの音楽だけでも非常に素晴らしいのですが、アートブックの方も買おうかな、なんて迷ったりもしています。
どうしようかな…(笑)


2017年2月の新譜

早いものでもう2月ですか。
今年も残す所あと11ヶ月を切りましたね(笑)…なんて、よくあるジョークはおいておいて、今月の購入予定です。

Daniel Herskedal "The Roc" (Edition Records)


Joshua Sabin "Terminus Drift" (Subtext Recordings)

※昨年末に配信のみで先行リリースされた、アルバム未収録曲です。

Kassel Jaeger & Jim O'Rourke "Wakes on Cerulean" (editions Mego)


The Necks "Unfold" (Ideologic Organ)


Taylor Deupree "Somi" (12K)


yMusic "First"(Communal Table Records)


Σtella "Works for You" (Inner Ear Records)


水曜日のカンパネラ "Superman" (Warner Music Japan)


今月はテイラー・デュプリーの3年ぶりの新作に始まり電子音響もの、北欧ジャズ、ミニマルバンド、インディークラシック、邦洋ポップスなど、かなり幅広い月になりそう。
いずれも楽しみであります。

【追記】
カセル・イェーガーとジム・オルークの共作が発売日早まったっぽいので追加しました。
プロフィール

vuoy

Author:vuoy
音楽好きです。
情報に間違いなどありましたらコメント欄で結構ですので気軽に連絡ください。
Last.fm
twitter

【注意事項】
まれに、当blogの記事をオークションの商品説明に引用またはURL貼付されているページを見ることがあります。
当blogの記事はあくまで個人の感想であり、ミュージシャン本人以外の利益に供する目的はありませんので、商用目的での無断引用/URL貼付はご遠慮願います。
どうしてもという場合には、twitterなどでご相談いただければ検討しますので何卒ご理解いただきますようよろしくお願いします。

アクセスカウンター
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
vuoy's Profile Page
Twitter
検索フォーム
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
音楽
281位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
洋楽
59位
アクセスランキングを見る>>
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR